次男が不登校になりまして【65】新生活を始めた次男

不登校関連

次男が実家を出て、学校の寮に入った春の日。

18歳の春、次男は新しい生活をスタートさせた。

それは私にとって、ずっと待ち続けてきた日でもあった。

「あともう少しで、私は次男から解放されて、一人になれる」

次男が進学を決めてから、私はその日を指折り数えていた。

不登校になってから7年半。

ようやく訪れた、次男と私、それぞれの新しい春だった。

※この記事には、子どもが精神的に追い詰められていた当時の言葉が含まれます。つらく感じる方は、無理をせず読むのをお控えください。

寮生活を始めた次男

次男が寮に入る日、私は次男と一緒に学校の寮に向かった。

沢山の荷物を車に載せて、引っ越しを手伝った。

「ちゃんと寮で生活できるかな、大丈夫かな・・・」

進学が決まり、寮生活が決まってから、次男は毎日そう言っていた。

次男が、そのように不安に思うのも無理はなかった。

小学校高学年から、いじめで始まった7年半もの不登校、引きこもり、人間不信、

心療内科への通院等々・・・ずっと不安定な精神状態が続いていたのだ。

自分の進路が決まって喜んでいた次男だけど、やっぱり不安は拭えない。

私自身も、正直に言うと、不安しかなかった。

学校にも寮にも、次男の現状について伝えてあった。

でも、集団生活ができるのだろうか。

またいじめられたらどうしよう。

せっかく入学しても、通学できないかもしれない。

学校をやめて帰ってきたら、どうしよう。

ずっとずっと、そんなことを考えていた私。

それでも、次男が自分で決めた学校。

自分で切り拓いた人生。

「次男と離れて一人になれる」と、次男の寮生活を始まる日を待ち侘びていた私だけど・・・

親として、不安に思う次男の背中を押したいと思った。

引っ越しはあっけなく

学校の寮に着いて、車から沢山の荷物を部屋に運んだ。

古いけど、日当たりが良い部屋だった。

2人部屋だったけど、次男は個室状態で部屋を使うことになった。

これはラッキーだった。

次男は、大量の荷物を段ボール箱から出し始めた。

そして、自分好みのレイアウトにして、自分の城にしたかったのだろう。

「もう帰っていいよ」

と、突然次男から言われて、私は唖然。

帰っていいの?大丈夫なの?・・・そう思ったけど、早々に退散することにした。

次男は新生活を楽しもうとしている。

私はここにいても、ジャマになってしまう。

「じゃあね」そう言って、私は自宅に帰った。

拍子抜けするほど、あっさりした新生活のスタートだった。

一人暮らしに乾杯した夜

帰宅すると、当然だけど、誰もいない。

念願の一人暮らしがスタートしたのだ。

ずっとずっと7年半の間、ほとんど自宅にいた次男に対して、自分なりに寄り添ってきた生活が終わった。

次男と過ごした7年半。

次男はいつも泣いたり、引きこもったり、怒って泣き叫んだり、物を投げつけたり、暴言を吐いたり・・・

全然落ち着けない日々だった。

静かになった自宅を見回して、私にも新生活がスタートしたことを感じた。

これからは、自分の生きたいように生きよう。

そう思えた。

一人で新生活に乾杯した。

紆余曲折の時間を長く長く過ごして、ようやくここまできたと思えたら、感慨深くて泣けてきた。

その日、一人で飲んだのは、桜色の缶の限定ハイボールだった。

思い出す言葉がある

次男から、何十回も何百回もぶつけられた言葉がある。

「なんで俺を産んだの!?

 なんでこんな辛い思いをして生きなきゃいけないの!?

 俺なんか、生まれてこなければ良かったのに!!!

 もう生きていたくない!!!」

返す言葉が見つからなかった。

言い返しても、余計に泣き叫ぶだけだと分かっていたから、何も言えなかった。

でも、楽しく生きて欲しいと願った。

人生は楽しいことが沢山あると知って欲しかった。

楽しい人生だったと天寿を全うしてほしいと、切に願った。

あんなに辛い言葉を話すということは、一体どれだけ辛い思いをしてきたのだろうか。

親として、もっとできることはなかったのか。

時間は戻らないのに、後悔してばかりだった。

でも、これからは、とにかく前進。

前だけ向いて、過ぎたことは振り返らないと決めた。

辛い思いをした次男だけど、これまでの時間も思いも無駄にはならない。

何らかの糧になるに違いない。

次男が寮生活を始めたからといって、これまでの不安がすべて消えたわけではない。

次男にも私にも、この先まだいろいろな出来事が待っていた。

それでも、あの日の次男は、自分で選んだ学校へ進み、自分の城となる部屋で新しい生活を始めた。

「もう帰っていいよ」と言えたことも、次男にとっては大きな一歩だったのだと思う。

そして私も、静かになった部屋で、自分の人生をもう一度歩き始めようとしていた。

あの春は、次男だけではなく、私にとっても新生活の始まりだった。

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